はじめに

Sabrina(サブリナ)は、
2024年で10年目に入ります


今まで一人だけで続けてきたブランドですが

様々な幸運やお客様にも恵まれ

百貨店様での出店やonline shopでの完売、数ヶ月待ちのオーダーの数々..

これまで多くの皆様にコスチュームジュエリーをお迎え頂きました


ですが、決して今までの道のりは

順風満帆だったわけではありません


出産を期に制約が多くなり

自分のつくりたいものがつくれず

ブランドを手放そうか悩んだ時期もありました


コロナ禍でクリエイターさんも増え

同業界で埋もれてしまう危機もありました


お客様に喜んで頂けているのだろうか

私がやりたい事は何だろうか

モチベーションを保つのが精一杯で

気持ちの波もたくさんありました


それでもコツコツ続けて

10年目を迎えられたのも

皆様のたくさんの温かな支えと愛があったからこそ

心の底からそう思います


親愛なる皆様へ

いつも本当にありがとうございます

平凡な会社員

私は今のお仕事をする前は
将来役に立ちそうという理由で

大学で新しくできた情報システムの勉強をして、

それを活かせるお仕事に就きました

(パソコンに疎いアナログ人間なのに..笑)

社内での人間関係には恵まれていましたが

決まった時間に決まった仕事をこなし、

毎日の帰りも遅く、
家に帰ると寝るだけの生活でした


大阪から東京に異動し、仕事内容が変わり、

私ではなくてもできる仕事内容に魅力を感じなくなり

今まで溜まっていた何かがパンっと弾けるように
気力がなくなってしまいました

そして10ヶ月休職した後、退職することになりました

自分の好きを仕事に

自立した女性になるために

自分の存在価値を見出すために

仕事は何かしらしたいと思い

自分の興味のあることを学び、色々と試しました


フラワーアレンジメントを習ったり

お料理教室に通ったり

パン作りをしてみたり

浅草橋のワークショップで
キーチャームを作ってみたり..


ふとキーチャームをつくっている時に

私の好きなイヤリングを
この手法で作れるのではないかと思ったのです

ワークショップへ訪れたその日に
何だかウキウキした不思議な感覚に陥り

機材一式を取り揃えていました

当時は、

アクセサリーショップのピアス売り場に比べて、

イヤリングの売り場が狭く

イヤリングを愛用していた私は

自分の好きなデザインがもっとあれば良いのになと思っていました


そこで、
「これは自分でつくってみるしかない」と思い

自分でイヤリングをつくってみることにしました

桜の蕾から今にも花びらが顔を出しそうな3月でした

自分で自分の好きなイヤリングをつくれるなんて..


その楽しさにのめり込んでいきました



ひょんなことから
友人にピアスをつくってほしいと頼まれ

プレゼントすると、とても喜んで着けてくれたのです


「もしかして、私でも人の役に立てることができるかもしれない..

しかも好きなことで!」


勘違いだったかもしれませんが

そう思えたことは私にとって幸運でした


そして右も左もわからないまま

手探りでブランドを立ち上げたのです

2015年 新緑の爽やかな季節でした

ブランド名は、
呼びやすく覚えやすいものにしたいと思い

海外の女性の名前を調べていました

自分の名前と同じ頭文字
「S」だと良いなと漠然と思っていました


そんな矢先、

映画「麗しのサブリナ」でピンときたのです


主人公のあまり冴えないサブリナが失恋して、

パリへ花嫁修行にいくのですが

パリから帰国したサブリナは見違えるほど美しい

気品のある女性に変貌する姿を目の当たりにしました


そのような前向きに輝く上品な女性になれるような

コスチュームジュエリーを届けたいという想いで

ブランド名を「Sabrina」に決めました


初めは大手ハンドメイドマーケットの
minneとCreemaでの販売でした


初めて販売した時

「見つけてくださる方はいるのだろうか..」

「ご購入してくださる方はいるのだろうか..」

と何も手がつかない状態でした


そのような状態で

初めてご購入頂いた時は

思わず声が出るほど喜んだのを

今でも鮮明に覚えています


そして届ける側も

このような幸せな気持ちにさせてもらえるのだと..


お届けする準備をしている時も

お客様が無事に受け取ってくださったかなと考えいている時も

ただならぬ緊張感で過ごしていました


通常は受取通知が来るわけではないので

受取の確認ができないのですが

その時は、ご丁寧にレビューを書いて頂き、

感謝の気持ちと共に自然と涙が溢れました


「私にもお役に立てることがあるんだ!」

大きな喜びと自信がつき

もっと多くの方々に届けたい..と力が入りました


そして、なんとブランド立ち上げ1年目にして

幸運なことに大丸梅田店と京都伊勢丹店に

期間限定での出店(アクセサリーショップに委託)のご依頼を頂きました


委託でしたが、初めての実店舗での販売


しかも私が生まれ育った大好きな大阪と

学生生活を過ごした思い出いっぱいの京都


数あるブランドの中から見つけてくださった
担当者様への感謝の気持ちと

ワクワクドキドキが止まらない状態で準備をしました


初めて揃えた100点以上の耳飾り


店員さんのご丁寧な接客もお客様からご好評頂き

追加納品も数回して

最終日には、残り3点になってしまう程

たくさんのお客様にお買い求め頂くことができました


online販売では、いつもご購入くださる常連様が出来たり

また同業のクリエイターさんからのご購入も多く

着画をたくさん撮ってinstagramに投稿頂いたりと..

instagramをご覧くださる方もどんどん増えていき

ブランドが盛り上がっていくのを感じました


そしてタレントさんへの衣装提供のお声がけも頂き

自分のつくったイヤリングがテレビで見れることに感動しました

出産後の制約と葛藤

ブランド立ち上げ4年目

出産を機に生活ががらりと変わりました


今まで使っていた樹脂(接着剤)が
子どもの前では使えなくなり

小さいストーンも全く使えなくなったのです


子どももあまり寝ず、

夜は30分〜1時間おきに起きていて

毎日寝不足の状態が1年半続きました


ブランドを休むことも考えました

つくれる環境が整ったら再開すれば良い..

ただ休むことでお客様が離れてしまうことへの不安と

環境のせいにして休むことがどうしても許せませんでした


使える資材や時間に制約がある中でも
出来ることはあると信じて

子どもをおんぶしながら制作をしていました


ただデザインに個性が出せず

簡単なものしかつくれない葛藤が続き

デザインの雰囲気も変わってしまいました


結局は見てくださるお客様や売上も激減してしまい

とても悔しくて堪らない思いでした


その時初めて

ブランドを辞めようかと真剣に考えました


イヤリング以外の他に何か違うものをつくる

という選択肢もあったかもしれません..


でもイヤリングにこだわり続けたのは
イヤリングを纏うことで
顔に対するコンプレックスで自信がなかった私を

前向きに輝かせてくれたから..

身に纏うだけで垢抜けることができたから..


そのような外見はもちろん

内面の美しさまでを引き出す

イヤリングは、私にとって魔法のようなアイテムだったのです


私自身がそうであったように

身に纏う人々がその人の魅力を引き出し、幸せを感じられるように..

この想いが強くあったため、

コスチュームジュエリー以外の選択肢は考えられませんでした


私には応援してくださる方々もいる


応援してくださる方々のためにも何とか頑張りたい


自分の納得のいくもの、唯一無二なものを創りたい..


その頃からコロナが流行りました

世間では旅行があまり出来なかった時期

何か皆さんに楽しんで頂けることはないか
と考えました


そこで思いついたのが

「旅するアクセサリー」でした


国や地名をネーミングに使い

その情景が思い浮かぶようなコスチュームジュエリー


世界の綺麗な情景や特徴的なものをネットや書籍などから情報を得て

デザインに使えそうなアイデアを探しました


制作に時間を取れませんでしたが

その分、構想やデザインを頭の中で考えることはできました


お客様からおすすめの本(世界の美しい場所など)や

海外のエピソードなどを教えて頂いたりと

一緒に考えて頂けるのが何よりも楽しかったのです

環境の変化

子どもが成長し、幼稚園に入園したことで

まとまった時間が取れるようになり
気持ちにも少しずつゆとりが出てきました

数もつくれるようになり

出来ることは何でも挑戦したいという
前向きな気持ちになりました

業界への危機と違和感

クリエイターさんがコロナの影響のためか一気に増え

自ブランドが埋もれてしまっているように感じていました

さらに以前出店させて頂いていた
百貨店さんのショップが

コロナの影響で閉店してしまいました

そんな時、多くのクリエイターさんを集めた
委託販売へのお声がかかり

全国のたくさんのお客様へ
実物をご覧頂ける良い機会として

委託販売も行うようになりました

その中で名古屋栄三越さんでの販売時、
自ら店頭に立って販売する経験もさせて頂きました


接客は苦手意識もあったのですが、

やはり直接お客様とお話しできるのは

とても楽しくて貴重な時間だと感じました


ただ多くのクリエイターさんの商品が並ぶ場所で

自分の商品をざっと陳列して
委託販売することに違和感を感じていました


お客様からのお声で
ありがたいことに

<上品、エレガント、個性>

といったワードを
多くお聞きすることもあり

私自身も大切にしていたことだったのですが

そのようなイメージを自ら潰しているのではないかと..

ブランドの世界観が作れて、
お一人お一人と向き合えるスタイルの方が良いのではと悩んでいました

ステージアップへの道

いちブランドとして立て直したい
という気持ちが強まり

自身と向き合い、
積極的にお客様と向き合うようにしました


ずっと自分一人でブランドをやってきたので

客観的に見て助言を頂いたり、

自分の想いも積極的に出しながら

お客様とのコミュニケーションを大切にしました


お客様アンケートでの貴重なお声や
日常のメッセージのやり取りで出てきた

<上品、エレガント、個性>というキーワード


それをブランドでさらに体現していくために

素材や品質もこだわり、知識も広くなって

つくれるものへの納得感も深まりました


その結果、
以前のただ思いつく可愛いを
たくさん作るというものづくりから

今は一つ一つの商品に意味があり、想いが入り
一つの商品をプロデュースするように

深みが一層増したと感じました

コスチュームジュエリーだけでなく

その周りを取り囲むイメージも全て見直し

<上品、エレガント、個性>に沿った

ワンランク上のブランドへ

ステージアップすることに尽力しました

ブランドの宝

お客様のお声は
今まで以上に私にも届き、

幸せを感じて頂けることへの嬉しさは

私にとって制作の原動力にもなりました


ブランドは、私一人でやっているようで一人ではない

素敵なお客様の支えがあってこそのブランドだと
改めて実感したのです

お客様と築くブランドへ

私はSabrinaのジュエリーを身に纏うと

自身を愛することができ

そこから心の豊かさ(贅沢さ)を得ています


お客様にもそれを体感して頂きたい..

という気持ちは今も変わりません


私の本当にやりたいことは、

私自身がそうであったように


”コスチュームジュエリー/ ファッションを用いて

その人の個性を引き出し

魅力溢れるお手伝いをすること”


お客様お一人お一人との関係を大切に

お客様と一緒にブランドの新たなステージを築いていきます


sumie